本格焼酎を究める―芋・麦・米から黒糖・泡盛まで価格:¥ 735 (Book)
発売日:
おすすめ度
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★★★★☆ 2005-09-09
新書としては良い出来。 新書の本格焼酎入門としては田崎真也氏の『本格焼酎を愉しむ』(光文社新書)が嚆矢であるが、田崎氏の本が有名人である著者のキャラを活かした体験談中心であるのに対し、本書は純粋なるガイドブックに徹している。
田崎氏のテイスティングがワインのソムリエらしい、素人離れした超微妙な味や香りを記述しているのに対し、本書のテイスティングは素人にも納得できるような良い意味での大雑把なもの。
例えば銘酒「佐藤 黒」のテイスティングの違いは以下の通り。
本書=「いかにも黒麹らしい骨太の酒である。芋独特のふわっとした甘みがありしっかりしたボディを持っている。それでいて非常に洗練されていて、風味のバランスが絶妙。」
田崎=「最初にちょっと黒胡椒のようなスパイシーでシャープな香りが目立ちます。そしてミネラルの香り、ほんのわずか焦げたような香りがあって、それらを柔らかくソフトに、サツマイモの蒸れたような、干し芋のような香りが包んでいる感じ。味わいは最初まろやかというか、ちょっとやさしい印象で、バランスは良く、後半にかけて少し辛いというか、心地よい苦味がします。全体的にスパイシーでシャープな印象。黒麹を使ったものの方が白麹のものよりも全体的にシャープに感じます。スパイシーさとスモークフレーバーも黒麹による特徴的な印象。」
本格焼酎ファンなら両方とも読んで損は無い。タイトルや本の体裁は似ているが、中身の記述は意外な程、重なってはいない。しかし個人的には田崎氏のように焼酎を生産地で分類するよりも、本書のように材料で分類している方が実用的だと思う。私自身、芋焼酎ファンで、芋焼酎なら鹿児島、宮崎、伊豆七島を問わず飲んでみたいからだ。
ただ焼酎も次々新製品が出され、幻化も進んでいるので、出版後情報が古くなっていくのは仕方ない。情報の性質上、新書よりムックや雑誌の特集号の方がより便利な面が多いと思う。
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